【解説・メタバース】今後の発展と課題 専門家が徹底解説 (2022年12月5日)
メタバースは今後どう広がっていくのか、そして課題は何なのか。奈良先端科学技術大学院大学の清川清教授に聞きました。
―――メタバースはこれからもっと身近になっていきますか。
メタバース自体は30年ほど前からある技術サービスですが、昨年頃から大きなブームになっています。コミュニケーションはもちろん教育、観光やコンサートなど様々な分野で使われるようになっております。
ただ、現在のブームは大企業のマーケティング戦略によるところが大きくて、若干過熱気味と感じるところもあります。短期的には参入企業の数や投資額が増えたり減ったりしますが、長期的には少しずつ右肩上がりになっていくのは間違いないと思います。
―――長い目で見ると右肩上がりということで、これから広がっていく上での問題点や課題はどういったところにありますか?
たくさんありますが一つ取り上げますと、一般のSNSについても同じことが言えるわけですが、意見の似通った方々が集まりやすいことです。
逆にそれを求めてメタバースに入ってきている一面もあるので、意見の異なる人とうまく協調するコミュニケーション能力、あるいは処世術のようなものが低下してしまう可能性があるのではないかと思います。
―――インターネット上でコミュニケーションを図るので、コミュニケーション能力には影響ないと思っていましたが、影響がでそうなのですね。
コミュニケーションの機会は間違いなく増えます。ただし、いわゆるエコーチェンバーといわれておりますが、意見の似た仲間だけが集まる機会が増えてしまいます。メタバースの場合は特にその中で生活までしてしまうものになるので、浸る時間が長い分、コミュニケーション能力や世間に出たときのスキルみたいなものは低下してしまうこともあるのではないかと思います。
―――写真と文章のみを投稿するSNSではないメタバースだからこその問題点であるということなのですね。
そのためメタバースのプラットフォーマーもその問題点を考慮しながら、様々なサービスを展開していく必要があると思います。
―――これから先、制度等が整ってきたときにメタバース空間の方が居心地のいい場所になったりとか、旅行では実際にその場所に足を運ぶ機会が少なくなったりするのではないかという懸念もあるかと思います。
メタバースでできることはどんどん増えていますし、メタバースでしかできないこともあります。
例えば、寝たきりの方や引きこもりの方、また身体障害を持っている人が、メタバースがあることで社会と接点を持つことができ、活躍したり、あるいは就労したりできるようなチャンスがどんどん増えていくと思います。
一方で、メタバースの空間に入り浸ってしまうことが増えてしまうのではないかというお話ですが、現実にしかできないこともたくさんあると思います。
今のバーチャルリアリティの技術では、例えば触るとか匂いを嗅ぐはできません。メタバースが普及することで現実の体験の価値はむしろ高まるのではないかと思っています。
例えば、あの人と握手をしたとか、あの料理を食べたとか、名古屋城に行ったとかリニアに乗ったとか、現地でしかできない体験をより大切にするようになるので、メタバースをきっかけとして現実に出かけていくこともある程度増えるでしょうし、メタバースの中に引きこもってしまうことはないと思います。
―――これから先はリアルの世界、そしてバーチャルであるメタバースの世界の融合バランスというのが一つのポイントになりそうですね。
今後、特にリアルとバーチャルの融合がメタバースの普及の鍵になってくると思います。バーチャルの方がうまくできることとリアルの方がうまくできること、これをうまく切り替えることライフスタイルになると思います。その後、本当の意味での融合も進んでいくと思います。
例えば、右を向けば現実の人がいて、左を向けばバーチャルの人がいて、誰もそのことを気にせずに一つの会議をやっているそういった世界になっていくと思います。私もそういった世界が作れることも目指して研究を進めています。
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